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大阪地方裁判所 昭和33年(ワ)5272号 判決 1963年1月25日

原告(反訴被告) 関西電力株式会社

被告(反訴原告) 三田保一

主文

本訴原告会社(反訴被告会社)の請求を棄却する。

反訴原告(本訴被告)の反訴を却下する。

訴訟費用中本訴について生じた費用は本訴原告会社の負担とし、反訴について生じた費用は反訴原告の負担とする。

事実

(以下本訴の原告会社及び反訴の被告会社を原告会社と略称し、本訴の被告及び反訴の原告を被告と略称する)

第一、本訴について、

原告会社訴訟代理人は、被告は原告会社に対し別紙目録(イ)記載の建物の建築工事を続行してはならない、被告は原告会社に対し同目録(ロ)記載の地上に建物を建築してはならない、訴訟費用は被告の負担とする、との判決を求め、その原因として、

一、原告会社は電気の供給を営む株式会社であつて、昭和一二年五月以降三国変電所と豊崎変電所間に二〇、〇〇〇ボルト送電線を建設してきたが、需要が増大したため同三〇年大阪通商産業局の認可を得て七〇、〇〇〇ボルトに昇圧する工事に着手した。

而して、右送電線は高圧であるから特別高圧架空電線を要し、電気工作物規程第九〇条、第九九条により高圧線の左右各六メートル(計一二メートル)及び電線下は建設物より五メートルの距離を常に空間として保持し、若しこれに反して建物が建築されると送電中止を命ぜられることになつている。

そこで、原告会社は右工事に当り電線下の土地所有者或いは建物所有者の協力により電線下の土地一、四五〇坪を平均単価坪当り金三、二五〇円で買収し、その移転補償費を支払つて工事を進めてきた。

二、訴外岸本安治は特別高圧架空電線下に原告会社の買収した土地に挾まれて、別紙目録(ロ)記載の土地二九坪七合八勺を所有し、これを訴外植松梶朗、同喜多喜一に賃貸し、右借地人両名がその地上にそれぞれ建物を所有し、これを訴外川人繁、同太田政広に賃貸していたので、原告会社は右建物所有者及び居住者に損失を補償して更地とした。

そして、土地所有者である訴外岸本に対して七〇、〇〇〇ボルト特別高圧架空電線架設工事施工の旨を告げ、その電線下は建築物の構築に制限を受ける旨を説明した。爾来数次に亘つて右土地の買収若くはその地表の上空使用権設定について交渉を重ねてきたが訴外人は右土地が更地となつたことをよいことにして不当に高額な土地代金を要求するため成約に至らず、ために日時が徒に遷延するので、売買の交渉は工事完成後に再開することとし、取り敢えず同人の承認を得て右地表の上空に電線架設工事を完成した。

かくて同三〇年一〇月四日全工事完成したので送電を開始した。

このように、原告会社は訴外岸本所有の右土地の上空を、昇圧工事前は二〇、〇〇〇ボルト送電線の架設に因り、昇圧工事完成後は七〇、〇〇〇ボルト送電線の架設に因り、平穏且つ公然と占有を継続してきた。

三、ところが、被告は訴外岸本から右土地を賃借したと称して同三三年三月頃右土地にバラツクを建設したので、原告会社は直ちに被告及び訴外岸本に対して電線下に建築物を設置できない旨を説明したところ、被告は右建物を一旦収去したが、同年四月一五日頃より再び右土地上に別紙目録(イ)記載の建物の建築を始めた。

四、被告の右建築物が完成すると、原告会社は電気工作物規程に違反することになつて送電できなくなり、架設した特別高圧架空電線を法律上保持することができなくなる。即ち、被告の右建物の建築続行は原告会社の右地表上空の占有を妨害する行為である。そして、被告は右土地に係争建物とその構造、種類等を異にする別個の新しい建物を建築して再び原告会社の占有を妨害する虞がある。

故に、原告会社は第一次的に占有権にもとずいて請求の趣旨どおりの判決を求める。仮に、それが容れられないとしても、原告会社が訴外岸本の承認を得て前記送電線架設工事を施行して別紙目録(ロ)記載の土地の上空を占有していること先に述べたとおりであるが、訴外岸本の右承認の法的性質は地役権の設定に外ならないから、原告会社の右占有のそれも同人より地役権の設定を受けたことにもとずくものである。このように、原告会社は地役権行使の状態において原告会社のためにする意思をもつて右地表の上空に送電線を架設してきたので、それは準占有に該当する。

故に、第二次的に準占有にもとずいて請求の趣旨どおりの判決を求める。

と陳述し、次いで、被告の主張及び抗弁に対し、

一、被告が係争建物を建築することは電気工作物規程に違反する。即ち、特別高圧架空電線(規定三条)の地表上の高さは、三五、〇〇〇ボルトを超え一六〇、〇〇〇ボルト以下の場合は六メートルを常に保持しなければならない(規程九〇条)、同架空電線と建造物とが接近する場合において三五、〇〇〇ボルトを超える場合は常に三メートルに、三五、〇〇〇ボルトを超える一〇、〇〇〇ボルト又はその端数毎に一五センチを加えた値以上を離隔距離として保持しなければならない(規程九九条)、同架空電線が建物の上方又は側方において水平距離で三メートル以上保持できない場合には建造物を施設することはできない(規程一〇〇条と規定しているから、被告の建築する建物が右規程に違反すること明らかである。

二、被告は地役権設定契約の有無、使用承認の有無、登記の対抗力の有無について主張しているが、原告会社が請求原因として主張するところは、占有権若しくは準占有権にもとずいて請求趣旨どおりの判決を求めているのであつて、その占有権の本権若くは準占有権の本権は審判の対象外である。然るに、被告はその本権について種々主張しているに過ぎないから、被告の右主張はいずれも理由がない。

三、次に、被告は補償なくして土地所有権乃至賃借権を侵害すると主張しているが、補償の有無と本訴請求とは全く別個の問題であるから、被告の右主張は、それ自体法律上理由がない。

けれども、事情として一言付け加えると、訴外岸本安治は本件係争土地について昭和三二年九月二〇日その長男久男名義で原告会社を相手方として調停の申立をした。この調停における訴外岸本の主張する土地売買代金は、原告会社が多大な犠牲を払つて本件土地を更地としたことを考慮しない法外な価格であつたため調停は不成立に終つた。訴外岸本は右調停申立原因第一項において、本件土地に建物を建築することが電気工作物規程に違反することを十分認識している旨を陳述しているにも拘らず、同人は本件土地を被告に賃貸し、被告も右の事情を知りながらこれを賃借した。これは訴外岸本が原告会社をして不当な売買価格を認めさせようとして計つた手段と思われる。

と述べた。

被告訴訟代理人は、請求棄却の判決を求め、原告会社主張の事実に対し、

第一項中、原告会社が電気を供給する会社であることは認める、その余の事実は不知、

第二項中、訴外岸本安治が別紙目録(ロ)記載の土地を所有していることは認める、訴外岸本が原告会社に対して右土地の上空使用を承認したとの点は否認する、その余の事実は不知、

第三項中、被告が訴外岸本から別紙目録(ロ)記載の宅地二九坪七合八勺を含む土地を賃借し、その地上に係争建物を建築中であつたことは認める、その余の事実は否認する、

第四項の事実及び予備的請求原因における事実は否認する、

と答弁し、次いで、

一、被告の係争建物が完成しても、その建物と送電線との離隔距離は、最も接近している個所でさえ、二八メートルの距離を保つているので、電気工作物規程(昭和二九年通産省令第一三号)に違反しない。

二、仮に、原告会社が、その主張のように、係争土地につき訴外岸本との間に地役権設定の合意が成立していたとしても、登記も経ていないから、原告会社はこれをもつて、訴外岸本から係争土地を賃借し、占有している第三者たる被告に対抗できない。

三、原告会社は、公益事業を営む会社であることをよいことにして、財産権不可侵を規定する憲法第二九条第一項、第三項を無視して、土地所有権乃至土地賃借権を侵害してもよいと考えているようであるが、これは納得できない議論である。

と述べた。

第二、反訴について、

被告訴訟代理人は、原告会社が別紙目録(ロ)記載の土地に地役権を有しないことを確認する、との判決を求め、その原因として、

一、原告会社は昭和三〇年一二月頃別紙目録(ロ)記載の土地の所有者である訴外岸本安治から地役権設定を受けたと称して同地表の上空に七〇、〇〇〇ボルト送電線を架設して右土地の上空を使用していたものである。

二、被告は同三三年三月六日大阪法務局所属公証人吉野淑計役場作成第二八四五一号土地賃貸借契約公正証書により訴外岸本から別紙目録(ロ)記載の土地を含む同所記載の宅地三二九坪七合八勺(旧町名番地は東淀川区南方町八四四番地)の内北東部分五〇坪を賃料一ケ月金五、〇〇〇円で賃借し、倉庫一棟の建築工事に着手したところ、前項記載の理由にもとずく原告会社の申請により同三三年四月一八日大阪地方裁判所は、(イ)別紙目録の記載の土地を含む賃借地五〇坪に対する被告の占有を解いて原告会社の委任する執行吏に保管させる、(ロ)被告は右物件につき建築工事を続行してはならない、旨の仮処分命令を発し、即日執行吏に依りこれが執行を受けた。

三、しかし、訴外岸本は原告会社に対し右土地の上空を使用することを承諾したこともなく、地役権を設定した事実もない。而して、今日においては原告会社の高圧送電線は地下ケーブルに取替えられ、別紙目録(ロ)記載の土地の上空を原告会社が使用していると言う事実は存在しない。

このように、原告会社は被告に対して別紙目録(ロ)記載の土地につき建築禁止を求める法的根拠がないのに、被告の右土地使用を妨害しているので、請求趣旨どおりの判決を求める、

と陳述し、原告会社の本案前の抗弁に対し、

一、原告会社は本訴において予備的に、別紙目録(ロ)記載の土地につき訴外岸本から地役権の設定を受けたと主張しているのであるから、被告はその有無について確認を求める法律上の利益がある

二、被告は反訴において原告会社と訴外岸本間の人的権利関係の有無の確認を求めているのではなく、原告会社主張の地役権設定が被告にも効力を及ぼすかどうかについて確認を求めているのである。けだし物権は対世的権利であつて単なる対人的権利でないからである。

三、本件反訴は本訴と請求の趣旨を異にしているので、二重起訴とはならない。

と反駁した。

原告会社訴訟代理人は、訴却下の判決を求め、

本案前の抗弁として、

一、被告は、原告会社が訴外岸本に対し別紙目録(ロ)記載の土地について地役権を有していないことの確認を求めているが(消極的確認の訴)、これは他人間の法律関係について権利不存在の確認を求めるもので、訴の利益を欠き不適法である。

確認の訴の利益があるためには、被告の法律上の地位の不安定(単なる経済的な地位の不安定ではない)が存在し、それを除去するために確認判決を得ることが最も有効適切な手段であることを要する。確認判決を得ても猶ほ当該紛争が解決されないで残ると見られるときは、確認の利益は存在しない。そして亦、確認の利益があると言うためには、紛争の核心をなす法律関係の確認を求めるべきであつて、紛争の法律関係の単なる前提問題に過ぎないものを対象としてこの種の訴を提起することは許されない。

原告会社は本訴において、被告に対し占有権若くは準占有権にもとずいて訴権を行使しているのであつて、それが紛争なのである。他方、被告は反訴において、被告が本件土地の賃借権を行使しようとしたところ、原告会社の仮処分執行により之が行使を妨げられたと言うことが紛争なのである。然るに、被告の確認の訴は、被告の法律上の地位の不安定を除去するための有効適切な手段とは言えないし、仮令確認判決を得たとしてもそれによつて当該紛争が解決されるものでもなく、亦紛争の核心をなす法律関係の確認を求めるものとも見受けがたく、単に紛争の法律関係の前提に過ぎないものを対象としている訴であるから、全く確認の利益がない。

二、反訴確認の訴は、被告が本訴において原告会社の請求を棄却する判決を求めれば十分に反訴の目的を達しうるのであるから、本件反訴は二重訴訟禁止に違反する不適法なものである。

と陳述し、

本案について、請求棄却の判決を求め、被告主張の事実に対し、

原告会社が本件土地の上空に七〇、〇〇〇ボルトの特別高圧架空電線を架設し、その土地の上空を使用していること及び被告が本件土地を賃借していること、並びに原告会社が仮処分の執行をなしたことは争わない、その余の事実は争う、

と答弁した。

立証<省略>

理由

第一、本訴について、

原告会社が電気の供給事業を営む株式会社であること、訴外岸本安治が別紙目録(ロ)記載の宅地を所有していること、被告が右訴外人から同目録(ロ)記載の宅地二九坪七合八勺を含む土地を賃借し、その宅地二九坪七合八勺上に同目録(イ)記載の建物を建築中であつたことは当事者間に争いがなく、そして、検証の結果に徴すると、別紙図面のように、被告の賃借地及び被告がその地上に建築中の右建物の上空を原告会社の高圧電線二本が平行して南東から北西に向け架設されていることが認められ、又、証人山下貞市、同市川楢一、同植松梶朗の各証言を綜合すると、右上空は原告会社が電気供給事業を営むためかねてから電圧二〇、〇〇〇ボルトの送電線(特別高圧架空電線)を架設して使用してきたところ、電力需要の増加に伴い電圧を七〇、〇〇〇ボルトに昇圧する必要に迫られ、昭和三〇年八月頃よりその昇圧に必要な支持物及び送電線の取替工事にかゝると共に、その電線下の土地の買収或いは賃借等に因り電線下の土地の使用権原を取得することに努め、前記宅地二九坪七合八勺を除き概ねその目的を達したのであるが、右宅地については、当時その宅地を賃借してその地上に家屋を所有していた者及びその家屋に居住していた者に対してはそれぞれ相当の補償をなすことに因り右家屋を収去せしめることができたが、その宅地の所有者である訴外岸本安治とは売買価格が折合わなかつたため右宅地の買収ができず、且つ同訴外人が右宅地の使用をも肯じなかつたため、再三、再四に亘つて交渉が重ねられているうち、同三〇年一〇月一五日頃前記工事が完成したので、前記事業を引続いて営むため、同月二二日頃より電圧七〇、〇〇〇ボルトの送電を開始し、もつて右宅地上の上空を従前に引続いて使用して今日に至つているところ、その間同三三年三月頃被告が右電線下の前記借地上に前記建物の建築に着手したことが認められ、右認定を覆えすに足る証拠がない。原告会社は、右電線架設に当り訴外岸本の承諾を得たとか、その工事当時その電線下の前記宅地についてその所有者である訴外岸本から地役権の設定を受けた旨主張し、被告がこれを否認しているところ、原告会社の全立証に徴しても、右のような事実を認めるに足る的確な証拠がないので、原告会社の右主張は採用ができない。猶ほ、被告も反訴において、右の高圧電力は現在地下ケーブルを使用して送電され、右宅地の上空は使用されていない、と主張しているが、被告の全立証に徴しても、これを認めるに足る証拠がないので、被告の右主張も採用できない。

右認定の事実にもとずいて、

(一)  原告会社の第一次的請求(占有保持及び保全の訴)について考察してみるのに、

原告会社が被告の賃借する前記宅地の上空に特別高圧架空電線を架設したことにより従前より右宅地の上空を支配してきたことは明らかであるが、空間を現実に支配していても、空間は物でないから、その支配状態を目して占有とは言えない。従つて、原告会社は占有訴権を行使するに由ない。

(二)  次に、原告会社の第二次的請求(準占有の保持及び保全の訴)について考察してみるに、

原告会社が電気供給事業を遂行するため七〇、〇〇〇ボルトの送電線を架設したことにより従前より前記宅地の上空の一定範囲を使用し、その空中使用の利益を現実に支配してきたことは明らかであるから、原告会社のこの空中使用による利益支配は準占有に該るものと看られる。従つて、原告会社はその利益支配の状態が妨害され、又は妨害される虞のあるときはその妨害の停止又は予防を求めるため準占有の保持又は保全の訴を提起することができる。

そこで、(イ)原告会社が右の送電線を架設することにより前記宅地の上空のどの範囲に亘つて利益を支配していたか、(ロ)被告が前記建物を建築することが原告会社の右利益支配の状態を妨害し、又は妨害する虞のある場合に該るかどうかについて検討してみることにする。

(イ)  高圧送電線の支配する利益範囲(送電線保持に必要な空間の範囲)、

送電中の高圧電線が架設されている場合は、単に架設された電線自体の輻と長さだけの空間使用が利益支配の範囲ではなくして、その送電線を保持するのに必要な範囲における空間(それは送電に伴つて生ずるかもしれない諸々の危険を未然に防止するために必要とされる空間)使用も亦利益支配の範囲内と解するを相当とする。そして、送電線保持に必要な空間の範囲は、電力事業会社が送電に当り遵守しなければならないものとして定められた電気工作物規程(通商産業省令、昭和二九、四、第一三号)に準拠してこれを定むべきものと解する。これを本件のような使用電圧七〇、〇〇〇ボルトの送電線とその線下の建物との関係についてみるのに、送電線の上方及び左右両側に要する空間範囲はともかくとして、送電線の下方において常に保持しなければならない空間範囲は、送電線より垂直に二メートルに亘る空間範囲と看られる(六八条一項四号)。

(ロ)  妨害又は妨害の虞の有無、

原告会社の主張に徴すると、同会社が送電中止の不利益を蒙るのは離隔距離(右の二メートルの空間範囲)を侵すような建物が建築された場合であるから、仮令送電線下に建物が建築されても、その高さが離隔距離を侵し又は侵す虞がなければ原告会社に対し何等の不利益も与えないし又与える虞もないと見受けられるところ、証人中谷章の証言に徴して真正に成立したものと認められる乙第一号証に照らすと、被告が建築している前記建物の地表よりの高さは五メートル一〇センチで、送電線が地表に最も接近している個所における送電線と地表との距離は一二メートル九〇センチであることが認められ、右認定を覆えすに足る証拠がないから、右建物が送電線保持に必要な空間範囲を侵していないこと計数上明らかである。従つて、右建物が完成し若しくは同種の建物が送電線下に設けられたとしても、原告会社の前記利益支配の状態を妨害し、又は妨害する虞があるものとは看られない。

以上説示したように原告会社の請求はいずれも理由がないから、被告のその余の主張及び抗弁の検討はこれを省略し、原告会社の請求を棄却する。

第二、民訴について、

原告会社は、被告の「原告会社が別紙目録(ロ)記載の宅地二九坪七合八勺について地役権を有しないことを確認する」との反訴に対し、右の訴は他人間の法律関係、即ち原告会社と訴外岸本間の法律関係について権利不存在の確認を求めるものであるから訴の利益を欠き不適法である、と抗弁し、これに対し被告は「原告会社が本訴の予備的主張において、右宅地について訴外岸本から地役権の設定を受けた、と主張しているから、被告はその有無について確認を求める法律上の利益がある」と反駁しているので考察してみるのに、確認の訴は当事者間において紛争の対象となつている権利又は法律関係を即時に確定する利益のあることが権利保護の一要件とされているところ、右の訴は原告会社と訴外岸本間における地役権設定の有無を解決しようとするものであつて、被告と原告会社間における紛争を即時に解決するものではないから、権利保護の要件を欠き不適法である。故に、原告会社のその余の抗弁の検討はこれを省略し、被告の反訴を却下する。

よつて、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して主文のように判決する。

(裁判官 牧野進)

別紙

目録

(イ) 大阪市東淀川区西中島町二丁目八七番地上

一、木造瓦葺平家建バラツク一棟 建坪一五坪

について基礎工事を完了し、建築に着手した未完成建物

(ロ) 右同所同番地

一、宅地三二九坪七合八勺の内、左記図面(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(イ)を結んだ線内の二九坪七合八勺、

図<省略>

別紙図面<省略>

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